輪状咽頭筋切除術(2)

少し間が空いてしまいましたが、嚥下改善の手術について、続きを書きたいと思います。
今回は輪状咽頭筋切除術の効果と不具合について書きます。


【効果】

手術前も口からは食べていましたが、食べていたのは嚥下障害者用の食品です。
ご飯もおかゆでした。
手術後は普通食に近いものが食べられるようになりました。
(ほとんど普通食と変わらないものです。)
ご飯はおかゆから、柔らか目に炊いたご飯に切り替えました。
ほとんどのおかずは小さめにカットすれば食べられます。
パンも食べられるようになりました。
健康な方には意外だと思われますが、嚥下障害者にとってパンは難易度が高いのです。
水分を吸って硬い固まりになってしまい、大変に飲み込みにくいのです。

水分は相変わらずだめです。
みそ汁などの水分そのもの、ラーメンやそばなどの水分に浸っているもの、高野豆腐などのかむと水分があふれるもの、これらは手術後もだめです。

たしかに手術をすることによって、つらかった飲み込みが少しは楽になりました。
のどに詰まったり、「むせる」ことが怖くて避けていたものを食べるようになりました。
しかし、相変わらず飲み込む時のつらさはありますし、回数は減りましたが「むせる」こともあります。
手術すれば効果は確実にあると思いますが、残念ながら病気が発症する前のようには戻りません。
私は手術に対する期待が大きかったせいか、手術の効果に気持ちが落ち込んだ時期もありました。

【不具合】

こちらの手術の方は、慣れてくると意外に不具合を感じません。
食道の入り口の筋肉の大きな目的は、胃から口への食物の逆流防止です。
手術によって弁の筋肉を取ってしまったので、逆流が止められない状態になっています。
食後は気を付けないと、逆流して胃の内容物をはいてしまうことになります。
これは気を付けていれば大丈夫です。
食後に「下を向かない」「横にならない」「おなかを圧迫しない」などを注意することです。
注意する必要があるのは食後3時間ぐらいまでで、それを過ぎると大丈夫です。
睡眠は無意識になるため、もう少し空けた方が安全です。
食後5時間ぐらいでしょうか。

不便なことは、仕事で帰りが遅くなると食事が取れないことです。
10時ぐらいに帰ってくると、寝るのがあまりに遅くなってしまうので食事が取れません。
遅くなるのが先に分かっている場合は、会社で軽い食事を済ますようにしています。

唾液の処理だけは手術後も難題です。
唾液を無理に飲み込もうとすれば、なぜかのどが「いがらっぽく」なり大変につらいです。
手術によって、食物はかなり幅が広がりました。
残るは水分と唾液です。
これが改善できれば、ずいぶんと生活も楽になるのではと思っています。

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