ワレンベルグ症候群発症7年目

このたびの台風の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
被災された皆様が、一日も早く平常の生活に戻ることができますようお祈り申し上げます。

さて、私のワレンベルグ症候群は発症してから6年が過ぎ、7年目に入りました。
ブログの更新が怠り気味ですが、「毎年のお約束」を始めることにします。

視床痛

視床痛は脳梗塞を原因とする神経性疼痛(神経障害性疼痛)です。
脳梗塞が原因で発声する「痛み」は、すべてを「視床痛」と言っても差し支えないようですが、ここでは温痛覚障害に起因する痛みとは分けて記述することにします。

私の視床痛は顔面の左側、特に目の周辺に発生しています。
常時、顔面からスライディングした後の擦り傷のような痛みを感じます。
時折、強い痛みが起きます。
それは、

・輪ゴムでパチンとはじいたような痛み
・電気がビリっと流れたような痛み
・強い力で圧迫したような奥の痛み
・目に針をさしたような痛み
・虫歯で冷たいものを食べたようなピクッとした歯の痛み

このような感じです。

視床痛は年々ひどくなっています。
痛みが強くなってきましたが、強い痛みが起きる頻度が明らかに増えました。
加えて去年から、痛さと同時に「かゆみ」を感じます。
いわゆる「痛痒い」感じなのですが、ちょっと独特の感覚です。
これも神経性疼痛の特徴なのかもしれません。

痛みは精神的にストレスになり、ストレスは視床痛の発生に関係しているように思います。
ストレスが増えると視床痛の発生頻度が増えます。
痛みでイライラしたりするとストレスがたまって、悪循環となってしまいます。
できる限りリラックスして穏やかに過ごすことが、視床痛を減らすポイントと感じます。

去年のブログを読み返すと、まぶたがピクピクと痙攣することを書いていたのですが、最近は発生していないことに気づきました。
頻発していたのは一時的なもののようです。

感覚障害(温痛覚障害)

首から上は左側、首から下は右側が温痛覚障害です。
相変わらず、お湯が熱く感じません。
皮膚表面の痛みはほとんど感じませんが、皮膚の中の痛みは感じます。
したがって注射は痛いです。
「やけど」するような熱いものに触れた時は、触れた瞬間は痛みを感じませんが、皮膚の中まで熱が伝わると痛みを感じます。
温度も痛みも感覚が戻ってきているような感じはありません。

顔面は視床痛のほかに、水でぬらしたような感覚が常時あります。
霧吹きで水をかけてぬれているような感じです。
この感覚は複数の方からも聞いたことがあるので、顔面に発生した温痛覚障害の特徴だと思います。

灼熱痛

ひじから手首、ひざから足首のあいだに感じる「ほてり感」です。
医学的には「灼熱痛」と言うらしいのですが、私の場合はその字で表すほどひどくはありません。
真夏の日焼けした直後のような「ほてり感」です。

冷えると痛みは強くなります。
一年を通して、シャツは長袖で下着も長袖になりました。
かと言って夏は楽になるのかと言うと、夏も痛いです。
特にエアコンの冷風が当たると痛さが増します。
痛みがひどい場合は、上腕から手首までのサポータを着用して温めます。

冷感痛

冷たいものに触れると痛みに感じる、温痛覚障害とは矛盾した症状です。
右手のひじから下がひどいです。
「冷感痛」は医学的に正しい名称ではありません。
この痛みの正しい名称は私は分かりませんし、勝手に私が「冷感痛」と呼んでいます。
(ですから医師に「冷感痛」と言っても通じないと思います。)
水道の水、金属でできたドアノブや手すり、雨など冷たいものに触れると、冷たさではなく痛みと感じるのです。
冷たい水で手を洗うと、思わず「イテテ」と叫びます。

最近は自分や他人の冷たい手が触れても痛いと感じます。
またお風呂に入って座ってシャワーを浴びていると、手から肘にシャワーが流れて肘から足に滴り落ちる水でさえ痛いです。
(手から肘に流れるまで、お湯の温度が下がるため。)

鼻水

これも温痛覚障害の関係と考えているのですが、常に鼻水が出るようになりました。
この症状は昨年からひどくなり、今年は真夏でも鼻水が出続けました。
特に食事中が多く、一回の食事で十回近くは鼻をかみます。
食事は常に鼻をかみながらとなってしまいました。
鼻が出るのは顔面視床痛のある左側だけです。
左顔面は皮膚感覚も弱いため、鼻水が出ていることに自分で気づかないことがあります。
時折、妻に「鼻が出ているよ」と指摘されます(笑)。

口の中

口の中は逆に「温度」と「からさ」に敏感になってしまいました(敏感というより過敏です)。
出来たての熱いもの、味がからいものは、とてもとても食べれません。
カレーや麻婆豆腐が大好きなのですが、味は甘口です。
煮物や焼き物なども少し置いて冷ましてからでしか食べれません。
液体も飲めないので、温かいコーヒなども口にすることはなくなりました。
さめたもの、冷たいものばかりなので、これからの冬のシーズンが嫌いです。
おなかを下すことも多くなりました。

これも感覚障害の問題と思いますが、汗が大量に出るときがあります。
少し気温が高いと、ひたいや手のひらに汗が吹き出ます。
私はパソコンを自作するのが好きなのですが、汗は金属を腐食させるのでパソコンなどの電子機器の端子部に触れるときは気を使います。

かゆみ

温痛覚障害で地味に困るのが「かゆみ」です。
かゆくなって、そこを「掻く(かく)」と言うことは、痛みでかゆみを打ち消していることと同じです。
痛みを感じないわけですから、かいてもかゆみが消えません。
「かゆみ止め」の薬は必需品です。

歩行と平衡感覚

発症直後から体が左に引っ張られる感覚がありましたが、今でも変化はありません。
私は外出の際は杖を使っていますが、それでも油断していると左に傾いて歩道の端に寄ってしまうことがあります。
真っ暗な状況では立っていることも難しいので、平衡感覚は戻っていません。
お風呂のときは、立ったままパンツを脱いだり履いたりするようにしています。
パンツを脱いだり履いたりするには、少しの間ですが片足状態を保つ必要があります。
これも平衡感覚を取り戻す訓練と思って続けています。

自転車に乗る夢をたびたび見ます。
まだ自転車は試していないのですが、平衡感覚がない状態ではおそらくは乗ることが難しいと思っています。
しかし同病でも自転車やバイクに乗っている方もいらっしゃるので、チャンスがあれば試してみようと思います。

頭痛

週に一回程度、軽い頭痛に見舞われます。
鎮痛剤を飲むほどでもなく、しばらくすると治まります。
定期的にMRIは受けており、特に問題は発見されていないのでこれも後遺症のひとつと思っています。
頭痛が起こると、病気の再発を考えてしまい恐怖感に襲われます。
これが頭痛そのものよりもストレスになってしまいます。
「気にしない」ようにするしかないのですが、再発の恐怖を頭からなくすことは無理と思うので、とにかく冷静を保つように心がけます。
「めまい」を感じることは、ほとんどなくなりました。

嚥下

飲み込むことに関しては、状態は変化していません。
液体をのぞけば普通に食事ができます。
食事中にむせることはありますが、ほとんどありません。

食物を食道に押し込む動作(喉の奥の収縮)が、筋肉の麻痺のためにほとんどできません。
そのために食物が喉にとどまって飲み込めないことがあります。
その場合は、牛の「反芻(はんすう)」のように、口に戻してかみ砕いて再咀嚼するか、吐き出すしかありません。
この吐き出さなければならないことがあるので、外食をするのが躊躇します。
誰でも、口から食べ物を吐き出している人を見れば気分を害すると思いますので、
他のお客さんに気を使います。
ショッピングモールのフードコートのように、騒がしくてテーブルとテーブルの間が広い所であれば、少しは気が楽です。
(それでも、吐き出すときは見えないように口元を隠します。)
回転寿司のボックス席も大丈夫です。
そのために、外食はもっぱらフードコートか回転寿司になりました。
でも外食ができれば、妻を食事の準備から解放できるので、日頃の感謝にお返しができます。

手術によって食道入口部の筋肉を取り去っているのですが、最近のVF(嚥下造影検査)で、取り去った場所が盛り上がって突起物ができているのが分かりました。
この手術後しばらくして発生することがあるらしく、飲み込みに支障が出てきた場合は再手術を検討する必要があります。
たしかに、手術後よりも飲み込みにくくなりました。
意を決しての手術だったので、再手術は相当に抵抗があります。

液体はゆっくりと注意深くなら飲むことも可能です。
しかし液体は常に気管に入る危険性があり、万が一気管に入るとかなり苦しい思いをします。
気管に異物が入ると、体は異物が肺にまで到達することを防ごうと、息を吸えないようにします。
自分で必死に息を吸おうとしても、息が吸えません。
せき込むことによって異物を吐き出したいのですが、せき込むための空気が肺にありません。
この瞬間は窒息するかと思うような状態に陥ります。
今はギリギリでせき込んでセーフですが、もっと高齢になればそのまま心臓が止まってしまうのではないのかと思ってしまいます。

発声

唾液が飲み込めないため、唾液を口にためていることが多くなります。
唾液を口にためているときは、しゃべることができません。
なので、どうしてもしゃべる頻度が下がります。
しゃべる頻度が下がると、だんだん声が出にくくなります。
しゃべると、声がかすれるようになってしまいました。
(意識して声を出せば、元気な頃の声に戻ります。)
しゃべることも、しゃべる機能を維持するためのリハビリです。

口内炎

ワレンベルグ症候群とは直接関係はないと思いますが、口内炎が頻繁にできます。
唾液が飲み込めないため、睡眠中は口を開けてしまいます。
そうすると、口の中がカピカピに乾燥してしまい、口の中の奥に口内炎ができてしまいます。
口を開けて寝ていることが原因なのは分かっているので、寝ている時に口が開かないようにする方法がないのかと調べました。
「いびき防止」グッズで口が開かないようにするためのものがあるのですが、どれも自分には合わずに諦めかけています。
口内炎は激痛ではありませんが不快な痛さで、これはこれでつらいものがあります。

天候との関係

「天気が悪くなると古傷が痛む」と良く言いますが、発症後は天候がもろに体調に影響するようになりました。
「気圧の低下」が原因との説が有力ですが、私の場合「気圧が低下した時」よりも「気圧が低下する前」の方が影響しています。
これは気圧計を買って確認しているので「気のせい」ではないです。

天候が悪くなる前(気圧が下がる前)になると、次の症状が出ます。

・視床痛の起こる頻度が上がる
・手足のほてりが強くなる
・めまいや頭痛がする
・飲み込みの調子が悪い

おかげで今ではかなりの確率で、天候の変化を事前に察知できます。

薬の服用について

視床痛の薬を服用するかをずっと悩んでいるのですが、副作用を恐れてまだ処方してもらっていません。
何度もブログに書いてきましたが、薬の効果よりも副作用のつらさで薬をやめる方が多いそうです。
幸いなことに、痛みで眠れなかったり、睡眠中に起きるようなことはありませので、私の場合は軽いのだと思います。
胃の調子もあまり良くないので、できればずっと薬は避けたいと思っています。

通院

定期的な通院は三カ月に一回です。
私は血中のLDLコレステロール値が高く、三カ月に一回通っているのは脳梗塞の経過観察というよりは血液検査が主な目的です。
1年に1回程度MRIを受けます。
MRIでは特に問題を発見したことはありません。
最近、嚥下で耳鼻咽喉科に通うようになりました。
嚥下の問題は耳鼻咽喉科が専門医なので、しっかりと見てくれます。
リハビリの指導と状態確認で、こちらは半年に一回通っています。

まとめ

視床痛や灼熱痛など痛み系は、少しずつひどくなっています。
去年と比べて、頻度が増え痛みが強くなっています。
まだ我慢ができますが、そろそろ限界です。
さらにひどくならないことを願うばかりです。
その他の症状は、特に変化はありません。

痛みなどで常にストレスを感じますが、精神的に大きな不安を抱えるような状況になったことはありません。
楽観的な性格が幸いしているのかもしれません。
実は自分の病気に関係することは、あまりネットとかで目にしないようにしています。
リハビリの方法など参考になる情報もありますが、再発や病気の原因などの不安や後悔を感じる情報も多いので、あえて目を背けています。
これもストレスを増えないようにする、自己防衛本能なのだと思います。
(「起きてしまったことはしょうがない」と自分に言い聞かせ続けています。)

来年の報告では「少しは改善してきた」と書ければ良いのですが……

7件のコメントがあります

  1. 菊川奈美代 さん

    同じような、症状ですね、ふらつきは、どうですか?わたしは、ふらつき、がひどくなってますが検査しても、異常はなしです。自律神経がだいぶきてるような感じです。リーゼ錠とゆうのをのんでますが、きいてるのかどうかわこりせん

    1. のすけパパ

      こんにちは。
      私は「ふらつき」は少しは感じますが、生活に支障が出るほどではありません。
      ワレンベルグは症状が様々なようで、症状の強さもそれぞれ違うようです。
      まったく嚥下に問題が出ていない方もいますし、自転車に乗っている方もいらっしゃいます。
      薬も合う合わないがありますから、効果を感じない場合は医師に相談するのが良いと思います。
      もし、そのような相談に親身になってくれない医師なら、病院を変える決断も必要と思います。

  2. レオンありがとう。 さん

    こんにちはいつもブログを見て同じ病と闘う姿をてらしあわせています。わたしの右の支障痛は病院を変え痛み専門のセンターで先生に薬を色々工夫してもらいだいぶ治りました。ただ目眩だけは強くなかなか改善の兆しが見えません。脳梗塞の目眩の薬も出してもらっていますがなかなか良くなりません。リハビリも一緒に始めましたが目眩だけは何ともなりません。

    1. のすけパパ

      こんにちは。
      いつもブログにお越しいただきありがとうございます。
      もしよければ視床痛の薬の名前を教えていただけませんか?
      目眩を抑えるリハビリもあるのですね?
      病院は能動的に色々と変えるのも有効ですね。
      でも新しい病院に行くのは、少し勇気が必要だったりしますね。

  3. レオンありがとう。 さん

    こんにちわ、お返事が遅れすみません。私が今通っている痛みセンターの先生に出してもらっている薬はいくつかありまして、痛み止だけを書きます。すべて飲んでますが診察の度に詳しく問診して、始めはトラマールOD錠25mg、それでも改善が見られなかったのでワンドラム錠100mgを処方してもらいましたが少し合わず強かったのか右目が開かないくらいまぶたが下がってしまい、副作用が強かったのでまたトラマールOD錠に戻してもらいました、しかし朝の激痛と昼間仕事中の痛みが変わらず10月からリリカに代わる今年4月に認可されたばかりのリーゼ錠5mgを処方してもらいそれから朝の激痛や昼間の痛みそれに1日不定期に来ていた激痛もなくなりました。多少のヒリヒリ感は有りますがリーゼ錠により痛みが治ったと考えて間違い無いと考えています。最近は2週間おきに通院していますが先週はリーゼをもう2mg増えて7mgのんでいます。ただ非常に眠気が強く来るため朝は5mgにしています。それでも非常に眠くなりますけど。とにかく紹介状書いてもらい今の痛みセンターに通えるまでに半年待ちましたなので4月から通院しています、少し遠いどすが家内がいつも仕事を休んで連れて行って貰っています。感謝です。なので先生ももの凄く親身に考えて痛みを取る為に私の為に痛みを取る為一生懸命考えてくれます。
    ようやく救われるお医者さんに会えたと思っています。またチームで患者の症状に対応するので目眩も少しでも改善する様主治医の先生がリハビリもメニューに入れて理学療法師さんとタイアップで治療してくれます。
    ただ目眩だけは脳の問題なのでリハビリでどこまで改善するかは雲を掴む様なものだと思っています。
    長々となりましたが新薬が私には今効いていて支障痛はかなり楽になりました。
    長々となりましたが少しでものすけパパさんのヒントになって、症状が楽になればとおもいます。

  4. レオンありがとう。 さん

    先程コメントした内容訂正させて下さい。
    すみません新薬の痛み止はタリージェ錠5mgと2mgです。
    すみません。リーゼ錠は痛み止ではありません。タリージェです。
    副作用は強い眠気と太りやすくなるので体重管理が大切です。

    1. のすけパパ

      こんにちは。
      大変に詳しくお書きいただき、また貴重な情報をありがとうございます。
      他の視床痛で苦しんでおられる方にも、有意義な情報になると思います。
      私はまだペインクリニックは受診したことがないので、一度、主治医に相談してみます。
      私は普段でも食後に強い眠気がきます。
      おそらくは血糖値の上昇からだと思っているのですが、これ以上の眠気は仕事に支障をきたす可能性があるので、そこが薬を躊躇している理由でもあります。
      いただいた情報を参考にして、主治医と話してみることにします。

コメントを残す