十年は生き延びた ⑤感覚障害

後遺症に対処していくには、後遺症そのものに「慣れること」も必要です。
ブログやコメントの返信で、私は「慣れ」という言葉をよく使います。
後遺症の本質的な対処と言えるのかは別にして、後遺症に慣れて気にしなくなればメンタル的にとても楽です。
「慣れること」は、自己防衛本能の一種だと思います。

ところが、後遺症には「慣れることのできるもの」と「慣れることのできないもの」があります。
私は発症してから十年が経過したので、後遺症の多くには慣れました。
「慣れた」と言うよりは、「慣れるように努めた」と言うべきかもしれません。
もちろん慣れたからと言って、症状が改善したわけではありません。
嚥下障害で液体が飲めなくなったのですが、依然として飲めないことに変わりはありません。
「液体が飲めない」と言う事実を受け入れ、そのことに違和感をあまり覚えなくなっただけです。
しかし、十年という時間を費やしても慣れないものもあります。
それは「強い痛み」です。
強い痛みだけは慣れることはできないでいます。

私の後遺症からの痛みは二種類あります。
一つ目は温痛覚障害が発生している場所で起きる「ほてり感」です。
専門的には「灼熱痛」と言います。
私の場合、字面ほど痛みは激しくはありません。
「日焼けして皮膚が赤くなってヒリヒリする」程度の痛みです。
これには慣れました。
時折「肌が熱いなぁ」と思い出したように気づきます。

二つ目は顔面の痛みです。
これが今でも慣れることのできない、強い痛みです。
痛みのあるのは目の下あたりで、延髄梗塞が起きたのと同じ左側です。
この痛みは長い時間で変化してきたので、経緯を書きます。

脳梗塞を発症して数カ月間は、まったく痛みは感じません。
弱いしびれもあったので、痛みが無いどころか感覚が薄くなっていました。

発症から半年程度経過した頃、時々電気が走るような痛みを感じるようになりました。
瞬間的な痛みで、まさにゴムで「パチッ」とはじくような痛みです。
かなり強い痛みで、何の予兆もなく突然「パチッ」と来ます。

次に現れたのが、「ヒリヒリ」「ジンジン」とした痛みです。
野球で顔面からスライディングして、顔が擦り傷だらけになったような痛みです(経験はありませんが……)。

そして「ドーン」という重い痛みが加わりました。
この痛みは例えるのが難しいのですが、顔面を万力で挟んでジワジワと締め付けるような痛みです。
どちらかと言えば、皮膚表面より皮膚の下の骨が痛むような感じです。
顔を手で押さえて、思わず「ううっ」と声を出してしまいます。
このころになると、睡眠中に痛みで覚醒することを経験しました。
薬の服用は避けたいのですが、諦めて痛みを抑える薬を始めたのもこのころです。
現在、睡眠中に痛みで覚醒するのは年に数回程度です。

顔面の痛みは典型的な神経障害性疼痛です。
神経障害性疼痛はひどくなると「風が吹いても痛い」と聞きます。
私も顔面に少し触れるだけでピリピリとした痛みを感じます。
(強く触るより、皮膚の表面を撫でるように触った方が痛みます。)
そのためコロナ禍でのマスク着用は非常につらいものでした。

痛みを抑えるための薬は今でも飲んでいます。
残念ながら、薬の効果は十分とは言えない状況です。
来月、念願だったペインクリニックに受診することが決まりました。
その結果はブログで報告したいと思います。

顔が痛くて手で押さえている写真

7件のコメントがあります

  1. KAZ さん

    私も顔の突然のピリピリ感の痛みは、時々あります。
    私が一番慣れないのは、お風呂に入った瞬間左側の特に腕が針で刺されたような痛みを感じるのと、
    もう梅雨は終わりましたが、雨にうたれると特に首あたりが、まるで針でぷすぷす刺されてるように
    痛くなります。今の自分にとっては、雨が大敵ですね。
    まあ、色々後遺症も年月と共に変化しますが、これを受け入れるしかないので、お互い頑張りましょう。

    1. のすけパパ

      こんばんは。
      ブログにお越しいただきありがとうございます。
      雨は怖いですね。私も冷たい物に触れると痛いので雨は大敵です。
      私はお風呂で痛みを感じることはないので、ホント皆さん出てくる症状が様々です。
      それも、この病気の特徴なんですね。
      せめて気分だけは穏やかでいれるよう、お互いに頑張りましょう。

  2. ゆー さん

    はじめまして!
    全部読ませていただきました。
    先週、主人が同じ症状で倒れたばかり、これから長い戦いと、仕事も難しいなか、主さんやみなさん、介護認定や障害年金、任意保険などおりたのでしようか、お金の心配をして酷いと思われてしまうかもしれませんが、まだ小学生の息子もいて、この先不安です。
    行政からの支援などありますか?
    そして、嚥下や痛み、めまいなど日々不安や辛さを抱えての生活を熟されていて、本当頭が下がります。ブログ、とても参考になりました。

    1. のすけパパ

      こんにちは。
      ブログにお越しいただきありがとうございます。
      当ブログがお役に立てて、とても嬉しいです。
      私の場合は障害者手帳は申請して交付されました。
      障害年金は受け取っていません。
      ご主人様の症状が分かりませんが、出来る限り早くリハビリを開始されるのが
      リハビリの効果も高いと思います。
      何かご質問があれば、ブログのメールをご利用いただければ、
      お答えできることはお答えしますので、どうぞお気軽にメールをください。
      ご主人様の一日も早いご回復を心よりお祈りしています。
      大変な時期かもしれませんが、どうか無理せず、ゆーさんもご自愛ください。

  3. ゆー さん

    とても落ち込んでいたのですが、とても励まされました!リハビリ重要ですね!ありがとうございます(>_<)のすけパパさんのお身体もご自愛ください

  4. レオンありがとう。 さん

    こんにちは、久しぶりにコメントに参加させて頂きます。
    思えば2017年、右推骨乖離性動脈流破裂、一般呼称、くも膜下出血からワレンベルクを発症してから7年が経ちました。
    言われるように慣れる症状、慣れない症状は必ず有ります、私は右顔面の疼痛と右目からの眼振というか右脳がグルグル回る様な感じが続いています。痛みは以前にも書いたトラマールOD錠とタリージェ錠の併用で何とか治っている状態で、たまに突然来る激痛には慣れません、やはり人間痛みだけには耐えられませんよ、慣れる事など不可能でしょう。
    もう一つの眼振の様な右脳の回るような右目の歪む見え方には車の運転をしたいので慣れようとしていますが、どうしても右にふわふわと流れる感覚が出て完全には慣れません。
    車で狭い道を履行する時などは左端が確認しづらく車線の無い狭い道は左に寄れず怖くて運転できませんし、慣れません。
    色んな症状があり個人差もある為、患った人にしかわかりませんよね。
    最初の主治医にも慣れる事ですと言われましたが、
    私の結論は慣れません!です。

    1. のすけパパ

      レオンありがとう。さん
      こんばんは
      慣れようとしても慣れないものは、どうしてもありますね。
      なんとか慣れたいと思うのですけど、「無理なものは無理」ですね。
      それに、この病気は症状がいろいろとありすぎて、医師でさえ全部は把握していない感じがします。
      しかも、くちでは簡単には伝えれない症状ばかりです。
      完璧な治療法がないから、医師も「慣れること」と言うのでしょうね。
      本音は「慣れるしか方法はない」だと思いますが……

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