十年は生き延びた ①運動障害

わたしはワレンベルグ症候群を発症した日を、カレンダーに書き込んでいます。
別に「おめでたい日」ではありませんし、忘れるようなことは決してないのですが、googleカレンダーに「毎年繰り返し」で登録しているので目にします。
2013年9月、日付が20日に変わったばかりの深夜、激しい頭痛からこの病気は始まりました。

そうなのです。
今から十年前に発症したのです。
発症から十年、今でもこうやって元気に(?)生きています。
とりあえず十年は生き延びることに成功したのです(ヤッタ〜)。

ということで、しばらくブログの更新をさぼっていましたが、十年の記念に何か書き込むことにしました。
書く内容をしばらく思案しました。
けれども本ブログの目的が、「自分の経験を同病の方に伝えること」なのを思い返しました。
特に最近発症した方が興味を持つであろう、発症から十年でどのように変化したのかをまずは書いて行くことにします。

わたしのワレンベルグ症候群の症状(後遺症)は、大きくは四種類あります。

  • 運動障害
  • 感覚障害
  • 嚥下障害
  • 痛み

今回は運動障害のことを書きます。

わたしの運動障害を簡単に表すと、

  • 手足を「素早く」動かせない
  • 手足を動かすと、頭で思っていた位置と実際の位置がズレる
  • 指を伸ばそうとすると、指の震えが出る

こんな感じです。

もう少し具体的に例を挙げると、

  • 歩くときに左足の動きが「ぎこちない」
  • 階段を上がるときに足の上げ方が少し足りなく、左のつま先を階段にぶつけることがよくある
  • 走ろうとすれば、右と左の足、そして手と足がうまく同期せず、「タコ踊り」のようになる
  • かかとのないスリッパのような履物は、歩くときに脱げる
  • 左手の指を伸ばして指を揃えようとすると、指が震え出して揃わない(手で水をすくうと、指の間から水がこぼれる)
  • パソコンのキーボードを打つのにブラインドタッチすると、左手はキー1個分ズレて打ってしまう

このように問題は主に体の左側で起きています。

十年経った今の状態ですが、残念ながら改善は少ないと言えます。
出歩くときは杖を使い、左足の「ぎこちなさ」を補います。
階段を上がるときは、上げた足の位置を目でしっかりと確認します。
走ることは無理です。
ですが、早歩きはできるようにはなりました。
かかとのない履物は避けます。
顔を洗うなど水をすくう必要のあるときは、右手だけを使います。
パソコンのキーボードは、主に右手で打つように変えました。

一人で出かけるときは杖が必ず必要なのですが、妻と一緒なら杖を持たないようになったのは改善と言えば改善です。
杖の代わりに、妻に手をつないでもらいます(妻が杖の代わりと言っているのではありませんよ。ラブラブ夫婦です……)。
雨が降ったときは、手をつないだままで別々に傘をさすのは無理なので、「相合傘」にします。
明らかに天気予報で雨が降ることが分かっていた日でも、朝から雨が降っている日でも相合傘です。
傍目からは変な夫婦に見えているのかもと思って、少し気恥ずかしくなります。

雨で困るのが、会社へ行く時です。
傘をさしながら杖をつかうのは両手がふさがってしまいます。
さすがに出勤はひとりで行きますので、妻を頼れません。
しょうがないので傘を優先して、杖なしで出勤します。
さらに雨で靴が滑るのが怖いので、そろり、そろりと歩きます。
台風のときはさすがに欠勤してしまいました。

わたしはここ数年、リハビリらしいリハビリはしていません。
上に書いた状況は、その上での結果です。
専門家の指導の下、日々しっかりとリハビリを積めばまた違った状況になっているような気もします。
わたしの場合は、日常生活で致命的に困っていないことと、性格的にサボり症がわざわいしてリハビリが長続きしません。
もっとも、日々の行動で体を動かすことこそがリハビリだと、自分では考えているのもあります。
年齢も60歳になろうとしているので、改善よりも「現状維持」という観点で、リハビリが必要なのかと考えてはいます。

相合傘の写真

4件のコメントがあります

  1. ずざお さん

    お久しぶりです。しばらく更新されてなかったので、勝手に心配してました。私もこの8月でワレンベルグ発症から7年経ちました。元の職場に何とか復帰もできて、文字どおり「生き延びて」ます。生活面で色々制約はありますが、意外と人間ドックとか健診系が結構大変だとわかりました。杖歩行なので身長測るのも一苦労、嚥下障害なので絶対胃カメラ検査なんですが、胃カメラの管は、経管栄養の管より太く、呑むのに毎回四苦八苦。声帯片側マヒなので空気が自然に漏れるため、肺活量検査なんてただただ息苦しいだけ。とまあ、書き出すとキリがありませんが、こうして生き延びているのは、何か意味があってのことなんだろうと思って日々生活してます。

    1. のすけパパ

      いろいろバタバタして更新が疎かになっていました。
      ご心配いただき、ありがとうございます。
      わたしも嚥下障害から咽頭筋を切除しているため、バリウム検査ができないですね。
      胃カメラは鼻からカメラを入れるものがあり、管が細くて楽ですよ。
      わたしは人間ドックをまったく受けていなかったので、今年こそは受けようと思っていたら、もう10月ですね……

  2. ケイト さん

    初めまして。
    私は2022年2月にワレンベルグ症候群を発症しました。
    温痛覚障害と足の痛みが後遺症としてあります。
    平衡感覚が低下してふらつくことも多いため、外出時は杖を使用しています。
    大変なこともありますが、毎日笑顔で過ごせるよう楽しいことを見つけて過ごしてます。
    今年もあとわずか。良いお年をお迎えください。

    1. のすけパパ

      こんにちは。
      ブログにお越しいただきありがとうございます。
      後遺症も少しずつ慣れると思います。
      慣れというのは、これもすごい能力なのだと思っています。
      今年一年も笑顔で穏やかに過ごせると、お互い良いですね。

コメントを残す