前回、嚥下の回復に鍼治療を試そうとしていることを書きました。
私の嚥下障害は延髄の脳梗塞が原因です。
食べ物を飲み込む働きをする部分への神経が損傷してしまい、そこがまひして動きません。
リハビリで継続して刺激を与えることにより、損傷した神経経路が回復する場合があります。
鍼治療は神経に直接刺激を与えられるので、リハビリより効果が期待できるのではと思っていました。
嚥下障害に鍼治療を取り入れている大学病院を、セラピストに紹介してもらったことは前回に書いたとおりです。
その病院に行く日が来ました。
鍼治療は未経験です。
どうも、こういったことは小心者なので苦手です。
この病気になって、痛いことを散々と経験しましたが、それでも初めてのことは怖いです。
この前の手術ほどではありませんがドキドキします。
病院の待合室で名前を呼ばれるまでが苦痛です。
待ち時間がすごく長く感じます。
やっと名前が呼ばれて診察室に入りました。
医師から現在の状況を聞かれます。
そして、
「鍼ですが、ワレンベルグ症候群での嚥下障害の場合は効果があった実績がありません。また、鍼を行うにしても神経の近くに刺す必要があり、危険率が高いです。」
「……」
ちょっとすぐには反応ができませんでした。
せっかく思い切って来たのにがっかりです。
「リハビリの方法をもう少し検討しましょう」
先生の言葉に、気を取り直しました。
(前回から鍼治療の結果を楽しみにされていた方、ごめんなさい。)
「VEの検査をさせてください。VEをやったことはありますよね?」
VEは嚥下内視鏡検査と言って、鼻から内視鏡を入れてのどの状態を観察する検査です。
鼻から入れる内視鏡なので、直径は3mmぐらいの細い内視鏡ですが、それでも入れる時は鼻の奥の粘膜が痛くなります。
もう何回も経験した検査ですので、
「もちろんあります」
と答えてしまいました。
VEを行いながら、食べ物を飲み込んでみます。
内視鏡を入れた状態で飲み込みを行いますので、食塊が食道の入り口でうろちょろして、なかなか飲み込めないのも見ることができます。
顔を右に向けたり、左に向けたりしてみます。
また、あごを突き出したり、あごを引いたりもしてみます。
こうすることによって、食べ物を飲み込みやすい顔の方向が見つかる場合があります。
いろいろと試した結果「顔を左に向けて、あごを引いて飲み込む練習をしましょう」と言われました。
実はのどの手術を受けた病院では、顔を右に向けて、あごを少し出して飲み込むように指導されました。
その方向とは真逆のことを言われています。
なぜ逆なのか、理由は次回にしたいと思います。
こんにちは。
鍼は神経を通じて脳に刺激を与えているのでしょうねぇ…。
直接、神経にはあまり効かないのかなぁ。
延髄だと神経がそこで障害されているかも…。
それより上部に打つと「仕置人」になりかねないものねぇ。
磁気刺激治療が効かないのと同じ理由かもしれないです。
おっしゃるとおり「仕置人」になっちゃいますね(笑)